年間フリーパスを利用して行く都立9庭園の中で、まだ一度も訪れたことがなかった清澄庭園。
これまで9庭園のうち、行ったことのあるのは、六義園、旧古河庭園、小石川後楽園、旧岩崎庭園の4つだけで、気に入ったこれらの場所を、何度も訪れているという偏りがあった。
庭園の池と花と木々の風情を楽しむこと、歴史的建造物を見ること、という意味で、これらの4庭園は秀でている。
しかし、他の庭園については、まだよく知らないというだけなのだ。
ともかく、フリーパスがあるうちに、何度か訪れたいと考えていた。
そして、今日初めて行った清澄庭園は、何と言っても、野鳥と水辺を楽しむ庭園の造りが印象的。
この磯渡りという、池と一体感をなすような石の配置によって、より水辺の景観を楽しめるようになってる。
池には多くの種類の水鳥や、カメ、コイなどが生息しているので、それらを間近に観察すこともできる。
オブジェのように美しいカモ。
回り込んでみたら、番だった。
そして、 カモよりはるかに大きい肥満コイ。
よほど人間を、パトロンと認知しているのだろう。
水辺に立つと、さっと集まった肥満コイたちは、一斉に水面から乗り出し、口をパクパクさせてくる。
もちろん、それが餌付けされるコイの習性だろうが、それにしても、さもしいまでの要求の激しさは、他の庭園ではあまり見ない。
やはり、一般客に餌を与えられ過ぎたらしい。
野鳥の多さにも目を見張ったが、嬉しかったのは、ツイッターの画像を見て気になっていた、‟パンダカモ”が沢山いたことだ。
先日行った六義園でも、広い池の遠くの方にわずかに確認できた。
それが、水辺のすぐ近くまで行ける清澄庭園では、多くの‟パンダカモ”が泳いでいる様子を、とても近くで見ることができた。
この白黒が特徴の水鳥は、「キンクロハジロ」という渡り鳥で、冬場に見られるカモのようだ。
それと、いつも堂々と優雅な佇まいが魅力のアオサギもいた。
まるで、他の鳥たちを従える、清澄庭園の主のよう。
この1羽と思いきや、最低でもあと2羽いた。
やや小さめのアオサギ。
カメと仲良く並ぶ、大きなアオサギ。
カメとキンクロハジロ。
随所にいるカメは、泳いでいたり、陸でのんびりしていたり、ちゃっかり景観の中に入り込んでいて、どことなくユーモラス。
中の島のマンサクが満開。
まだ満開ではないが、今年初めてのソメイヨシノ体験なので、自然と心が弾む。
今年も、いよいよソメイヨシノの季節がやってきたなあと、実感が湧いてくる。
先ほどの着物美人も撮影中。
爽やかな風が通り抜ける清澄庭園は、こじんまりとして、親しみやすい庭園だった。
庭園を出て、すぐ向かいの本誓寺にもソメイヨシノが咲いていた。
薄ピンク色の春本番の風景に満たされると、何か新しいことが始まる、新しいことを始めたくなる、そんな予感と意欲と期待感とが、ふわっと湧き上がってきて、気分も明るくなる。
そして、次は、日本橋三越本店の院展を見に向かう。
この日本橋三越本店もまた、1935年に建てられた国の重要文化財である。
道路を挟んだ向かいの三井本館、その裏手の日本銀行本店など、江戸から近代国家への歩みを辿る重要な歴史的建造物が、日本橋界隈では、今も堂々と街の中心をなしていて壮観である。
院展に行く前に、日本橋にやって来た際に必ず立ち寄る、やなか珈琲に直行する。
コーヒー豆の焙煎を待っている間に、三井タワー1階にある、マンダリンホテルのグルメショップのクロワッサンを買いに行くのも、最近のお決まりのコース。
コレド室町のディスプレイ。たなびく布もソメイヨシノ色。
福徳神社には、ハナモモが咲いていた。
やはり焙煎には、それなりの時間を要するので、スケジュールが押してきた。
せっかく前売りを買っていた院展なのに、今回は、様子見程度の鑑賞になってしまった。
先日、横山大観記念館に行ったときのボランティアさんの解説で、院展については初めて知ったばかり。
日本美術院が主催する公募展覧会の春の院展は、戦後から始まり、今年で72回目となる。
そして今秋には、岡倉天心没後、大観らによって日本美術院が再興された1914(大正3)年から継続する(昭和19,20年を除く)再興第102回展覧会が開かれる。
今回の第72回春の院展では、同人が33名と一般が319名の総数352点の作品が展示されており、見応えがあった。
もともと時間がないのに、とてもじっくり見れるボリュームではない。
ともかく、日本画がこれだけ隆盛を誇っているのだと、改めて認識させられた。
できれば、東京都美術館での秋の院展(日本美術院再興第102回展覧会)にも余裕をもって見に行きたい。
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