Translate

2016年3月21日月曜日

出光美術館&東京ステーションギャラリー


学生証を利用して行く美術館巡りも、残り10日となったところで、出光美術館と東京ステーションギャラリーとをハシゴする。



出光美術館の展示は、「勝川春章と肉筆美人画」。生誕290年記念の企画展である。



全く予備知識のない鑑賞であるが、艶やかな色彩も、精緻でしなやかな描画のタッチも、版画とは異なる、繊細な優美さに目を見張った。
まさに、雅〈みやび〉という言葉が浮かんでくる。

そして、美人画のモデルが主に遊女であり、遊郭に生きる女性たちと、その日常の生活風景が活き活きと描かれているのが、とても興味深い。

「読書美人図」、「遊女と達磨図」などを見ていると、単に春を売る商売女という最下層の女性への哀れみや蔑みを一蹴する、気品すら漂っている。
凛とした佇まいや、大らかさ、ユーモアもあって、寧ろ、絵のモチーフとしたくなるほどの、美しきものへの憧憬や親密感を感じ取ることができる。


「文読む遊女図」 「梅下美人図」

遊女と達磨図(太田記念美術館所蔵)


勝川勝春の弟子には、かの葛飾北斎がいる。
聖と俗が親和的な、江戸の庶民文化の豊かさ、拡がり、底力の一端に触れたような気がする。



出光美術館を後にして、次は東京ステーションギャラリーへと向かう。
その道すがら、三菱一号館ビルの前を通った。先日は雨で急ぎ足で帰ったので、建物の全体像を仰ぎ見ることはなかった。

やはり復元とはいえ、歴史的建造物としての重厚さが漂う。
近代建築の草創期を象徴する建物と、現代の高層ビル建築とのマッチングが素晴らしい。


通り道にある東京ビル一階のカフェ、VIRON。
本当はここで一休みしたかったが、今日は時間がないので、今回は素通り。



東京ステーションギャラリーは、東京駅の北口に位置する。

天井の高窓からは、明るい光が差し込んで、美しいドームの装飾を引き立たせている。

大正3年に建造された赤煉瓦の東京駅舎は、三菱一号館や鹿鳴館などを設計したジョサイア・コンドルの弟子、辰野金吾の作品である。

空襲で3階部分が焼失した後、2階建てとして修復され使用されてきたが、4年ほど前に完了した復原工事では、その3階部分とドームも元の形に再建され、大いに話題になったそうである。

東京ステーションギャラリーでは、重要文化財に指定された、当時の東京駅の赤煉瓦が使用されている。


さて、今回の企画展は、「ジョルジョ・モランディ―終わりなき変奏」である。

本当に終わりのないヴァリエーションである。
すべて静物画の1.2.3・・・40と続く。例えば、この静物画がいいと人に伝えるとき、どう説明すればいいのか?と、はたと考えてしまった。番号以外で言い表しようがないのである。

その中で、いくつかの気に入った作品も見つかった。



随分と駆け足に美術鑑賞して回ったが、インスピレーションを得て、新たな興味も湧いてきた。
今後、いろいろ調べたり、関連本を読むことによって、作品の背景や歴史上の位置づけをしながら、今回の鑑賞作品の意味を深めたい。



2016年3月16日水曜日

目黒・庭園美術館「ガレの庭~花々と声なきものの言葉~」




タイトなスケジュールの美術館巡り。
今回は目黒にある庭園美術館に行く。
テーマは「ガレの庭~花々と声なきものの言葉~」。


庭園美術館の建物である旧朝香宮邸は、「赤坂迎賓館」開設前の一時期、国賓・公賓の迎賓館「白金迎賓館」として使用されていた。
日本を代表するアール・デコ建築の館であり、国の重要文化財にも指定されている。

庭園美術館として一般公開されるようになったのは、1983年(昭和58年)のことで、2014年には、旧館・新館のリニューアル・オープンして、現在の佇まいになっている。
今回は、残念なことに、庭の大部分が工事中で、一部分しか散策することはできなかった。


新館のカフェテラス

春を告げるトサミズキ


外観はいたってシンプルな造りに見えるが、中に入るや、いきなり、お洒落で格調高い装飾が目に留まり、別世界に引き込まれていくようである。

ルネ・ラリックのガラスレリーフと大理石のモザイク張りの床

玄関も写真撮影が禁止とのことだったが、知らずに撮ってしまった。(期間限定で写真撮影OKの時期もある)

室内に展示されるガレの作品はとても潤沢で、アールデコ調の部屋にとてもマッチしていた。

アール・ヌヴォーの立役者エミール・ガレと言えば、日本でおなじみのガラス工芸作家であり、常設展示も随所にあるので、何かしらその作品に触れている人も多いはず。

今回の展示で面白かったのは、ジャポニズムの影響がガレの作品中に散りばめられているのをいくつか発見できたことだ。
鯉やカエル、トンボ、鳥、柔らかで優雅な曲線の様々な植物たち等々をモチーフとする作品からは、日本画で描かれる花鳥風月を彷彿とさせるものもあった。アール・ヌーボーの優美さの中に、ガレの徹底した観察眼のリアルな描写にギョッとするのも興味深かった。



広い邸内を巡り終え、明るく開放的な新館へと繋がる通路を進む。

最後の楽しみは何といってもカフェ(カフェ・ド・パレ)で一服すること。
新館から見る旧朝香宮邸


混んでいて順番待ちとなり、ケーキがなくなってしまうのではないかとハラハラ。


何とか食べることができてほっとする。
コーヒーもとても美味しかった。

次は是非、旧朝香宮邸の装飾の写真撮影できる日を狙って来ようと思う。





東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)【アール・デコの館】







2016年3月9日水曜日

雨の三菱一号館美術館とCafé 1894


学生証があるうちにと訪れた美術館第三弾は、三菱一号館美術館。

開催中の「PARIS オートクチュール 世界に一つだけの服」は、あまり馴染みのないテーマであるが、パリや服飾には興味がないわけではないので、まあよしとする。

復元されたジョサイア・コンドル設計の三菱一号館美術館もまた、歴史的建造物として価値がある。

三菱一号館美術館の概要、ヒストリーなど

隣接する一号館広場や、お洒落なショップに囲まれた、ここブリックスクエアの一帯は、丸の内の新しい名所、素敵空間になっている。


雨模様の広場を美術館の窓から覗く。

アーチ型の壁形状のクラシックな廊下は見どころの一つ。

企画展の撮影可コーナーの写真。



美術館を出て、一号館広場を歩いてみる。

早春を告げる花、マンサクが咲いている。
雨に打たれて、一層頭をもたげるクリスマスローズ。

イングリッシュガーデンの薔薇が咲き誇る頃に、また訪れてみたい。

丸の内ブリックスクエア一階のお花屋さんもお洒落。


エシレのクロワッサンはやっぱり売り切れ。
お目当てのジョエル・ロブションで、パンとカヌレを買う。

そして、もう一つの楽しみ、「1894(明治27)年三菱一号館の創建当時、銀行営業室として利用された空間を復元したクラシックな趣のミュージアムカフェ。」Café 1894に入ってみる。



定番のクレープ



約15年ぶりに訪れる東京駅周辺、丸の内界隈はだいぶ雰囲気が変わってしまった。
ビジネス街として、お茶するにも適当なところが見つからず、素通りするばかりだったのに、今は其処彼処にあって目移りするくらい。
それだけ時代も変化したということだとつくづく思う。

これから私の東京巡りも本格化しそうな予感。

三菱一号館美術館








2016年3月2日水曜日

根津美術館、早春の庭園散策


昨年より気になっていた南青山の根津美術館へやっと行くことができた。


根津美術館は、「東武鉄道の社長などを務めた実業家・初代根津嘉一郎(1860~1940)が蒐集した日本・東洋の古美術品コレクションを保存し、展示するためにつくられた美術館」である。
そして、建物に隣接する庭園の散策や、その美しい庭を望むNEZUCAFE でお茶をするという楽しみもある。



根津美術館

今回の訪問は、時間に限りもあるので、美術品の鑑賞はメインとせず、この庭園とカフェにターゲットを絞って行くことにした。



玄関口へのアプローチ


因みに、開催中の展示会は「仏教絵画名品展」。
チラシ

仏教には興味があるが、その心を理解するに至らず、更に絵画となると殆ど無知なので、私にはハードルが高すぎる。

しかし、「昭和15年の財団設立当時、4,643点でスタートした当館の所蔵品の数は、平成28年3月末の時点で、7,420件を数えるにいたって」おり、「これらのうちには、国宝7件、重要文化財87件、重要美術品94件がふくまれて」いるというのだから、常設についても本来ならじっくり鑑賞する価値は十分にある。
根津美術館のシンボルとも言える、意外に大きな「双羊尊」も見ることができた。
日を改めて、もう少し知識を蓄えて再訪したい。できれば、尾形光琳の国宝「燕子花図」が展示される際に。


一通り展示フロアを回った後、庭園を散策する。

想像以上に広々していて、高低差もあり、まだ春になったばかりなのに、木々の緑も豊富で美しい。

池に快晴の空が映え、まるで鯉が天空を泳いでいるよう。

NEZUCAFEから見る庭。
窓際の特等席に座れてラッキーだった。

アップルパイにアイス、バウムクーヘン添えのケーキセット

閉館間際になり、夕陽が差し込んできた。


四季折々に訪ねて、季節の変化を味わってみたくなる美術館である。










2016年2月28日日曜日

郷さくら美術館でお花見~中島千波の世界~



今日は、中目黒の郷さくら美術館で開催している「中島千波の世界」の最終日。
ぎりぎり滑り込んで、一足早いお花見をする。

2012年春に、桜の名所・目黒川のほとりに開設した郷さくら美術館は、昭和以降の生まれの現代日本画家が描く、大画面中心の作品をコレクションしている。そして、「一年を通して満開のお花見ができる」という常設展示室で、全国の桜の名所・名木を描いた作品を紹介しているらしい。

郷さくら美術館

今回の「中島千波の世界」では、‟桜の千波”と称されるほど人気の高い桜の大作を数点見ることができた。


<春夜三春の瀧櫻>1998年(ポストカード)
<櫻雲の目黒川>2013年(クリアファイル)

他にも、<樹霊淡墨櫻>、<素桜神社の神代櫻>、<石部の櫻>など、ご当地の樹齢何百年や千年を超える名木を描いた、爛漫の桜の屏風絵が展示されていた。
迫力ある、そして幽玄な美しさには圧倒される。

これらの贅沢すぎる名所の桜を椅子に座って対面し、じっくりと堪能できるのも、郷さくら美術館ならではのことかも知れない。

中島千波について(長野県の小布施町のホームページより)


特段に予備知識もなくやって来たものの、他の作品のおもちゃシリーズや牡丹や様々な花や静物画、人物画なども個性的で、とても魅力的だった。

気に入ったポストカード3枚を並べてみる。
<散椿>、<雨の音>、<さくうらら>、いずれも1990年
<魔女と薔薇>1997年(ポストカード)

コンパクトな美術館ながら、50点ほどの作品の展示は、訴求力十分だった。現代日本画の面白さや、きめ細かい筆の流麗さ、美しさを改めて知ることとなった。


郷さくら美術館を後にして、今度は代官山方面へと坂を上っていく。
目指すはカフェ・ミケランジェロ。



クリームブリュレを美味しくいただいた。




この2年間は、最も関心のある人間科学の勉強を優先させたこともあって、出かけるのを控えめにしていた。2月に入り、ようやく一段落したので、学生証があるうちに都内の美術館巡りをしようと思い立ったところである。
そして、都心に行くついでにカフェ巡りもすることにした。

桜の咲く季節ともなれば、またお花見やその後の花のリレーを追いかけて、忙しく出かけることになるだろう。

ともかく、これからは時間をフルに生かして、ストレスですっかり老け込み、肥満化してダレきった心身に喝を入れ、活き活きとした日常生活を過ごしたい。

今日の中島千波氏の艶やかな満開の桜の絵を堪能するうちに、今年の春こそは、関東で一番人気の目黒川の桜を見に来たくなった。
爛漫の春へと移りゆく季節と共に、私もしっかり休眠打破しなければ!


<高山村黒部の江戸彼岸櫻>2010年