ここは、自宅からは最も遠く、スカイツリーのすぐそばに位置する。
六義園や小石川後楽園などの大名庭園とは異なり、町人が造った庶民派の庭園である。
向島百花園は、「ミヤギノハギ、筑波のススキなど詩経や万葉集などの中国、日本の古典に詠まれている有名な植物を集め、四季を通じて花が咲く」、山野草を中心とした「文人趣味豊かな庭」とのこと。
なるほど、入るとすぐ秋の七草の一つ、カワラナデシコが可憐に咲いていた。
ナンテン |
シモツケ |
ハナショウブ |
オカトラノオ |
スカシユリ |
ユスラウメ |
ザクロ |
萩のトンネルが有名なので、秋には勿論再訪する予定にしている。
今日の訪問は、季節がら、ハナショウブとアジサイがお目当て。
特にアジサイの園芸種、「墨田の花火」が見ごろを迎えたとの情報に釣られてやって来た。
墨田の花火 |
全体として花は多くはないが、グリーンと水辺の風景が素晴らしい。
目と身体に優しく、とても癒される。
背景にはスカイツリー。
鬱蒼とした歴史を感じさせる竹林に繋がる「文人庭」には、芭蕉などの句碑が数多く建つ。
帰って調べてみると、岡倉天心らによって建てられた、月岡芳年扇之碑があると知った。
歌川国芳の弟子の、近年再評価がすすむ月岡芳年。
8月に太田美術館で開催される「月岡芳年 妖怪百物語」にも行く予定である。
次回、向島百花園を訪れた際に探してみよう。
曇り空の予報に反して、陽が照って反射が強い。藤棚の下の椅子で休み、陰るのを待つ。
すぐ隣にも、大きな「墨田の花火」が涼し気に咲いていた。
数は少ないが、やはり水辺のハナショウブは日本情趣に溢れ、凛として美しい。
想像以上に見ごたえのあった向島百花園を後にして、急ぎ、同じ沿線の清澄庭園に向かう。
5時閉園、入園締め切り4時半ギリギリに滑り込み、自由広場のハナショウブを目指す。
春に、今年初めてソメイヨシノを鑑賞したのは自由広場だったが、今年初めてのハナショウブ鑑賞の日も、清澄庭園となった。
花はやや小さめで、花つきはやはり少な目。
しかし、水辺の流れるような配置のハナショウブの景観は、風情があって美しい。
そこに、お馴染みのアオサギが登場。
自由広場から大泉水周辺に出て、帰りの道すがら、ぐるっと周遊するだけでも気持ちがいい。
閉園まで、あと10分もないが、橋が目に留まると、つい渡ってみたくなる。
すると、クチナシの花が、むせるような強い芳香を漂わせて迎えてくれた。
それだけでも来た甲斐があったと思うくらい、うっとりする良い香りに包まれる。
対岸の大正記念館前のアジサイにも寄って見たい。
そこで、磯渡りの石を渡って、そちらの方に行ってみる。
肥満コイたちも何やら騒々しい。
そして、なんと、カメと並んで、珍しいスッポンが、トボケた顔を覗かせている。
初めて見るスッポンの、ちょっとブサイクな顔だが、なんとなく愛嬌がある。
閉園時間となると、係員が餌でも与えるのだろうか。
池の生き物たちは、皆ひどく興奮しているようだ。
これを見て、子供たちも興奮気味にはしゃいでいたのだった。
もう5時になるというのに。
という私も、最後の最後まで清澄庭園の景観を楽しんでいた。
大正記念館周辺のグリーンがとても美しく、名残り惜しむ。
急ぎ足ながらも、向島百花園共々、美しい草木と花と水辺の風景に癒され、思わぬ梅雨の合間のリフレッシュ。充実した一日となった。
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