秋の紅葉シーズンを迎え、今年の紅葉狩りは旧古河庭園からのスタートとなった。
東京の紅葉の最盛期は、例年11月末から12月初旬であるが、昨日、東京における54年ぶりの降雪と、観測史上初の積雪を記録したので、一気に色づきと落葉が進むのではないかと心配になる。
もう様子見は止め、慌てて出かけることにした。
国に名勝指定された旧古河庭園は、薔薇の洋風庭園として有名であり、その時期に過去2回訪れている。
そして、今年2度目の初夏の訪問の際に、初めて日本庭園内も散策してみて、その奥行きと趣の深さや、カエデの木がたくさん植えられていることを知った。
そこで、旧古河庭園のもう一つの魅力である日本庭園への秋の再訪を楽しみにしていたのである。
ネット上では、東京の庭園の紅葉見物の中でも、デートスポットで人気の場所として紹介されており、また、何やら、他の庭園より一足先に色づき始めているとの情報もあった。故に、旧古河庭園が紅葉狩りのスタートの地となったというわけだ。
入り口付近のイチョウは、まだ完全に黄葉していないが、快晴の空に映える淡いグラデーションが爽やか。
切符売り場付近の木々の間から見える紅葉が美しく、早くそちらへ近づいてみたくなる。
ちょうど四季薔薇の咲くシーズンと重なり、秋のイングリッシュガーデンも堪能できる。
インカ |
陽がどんどん斜めに翳って来るので、早速、高低差のある日本庭園のほうへ降りて行って、心字池方面を周遊する。
お茶室の周りは、やや立ち枯れ気味のカエデと、まだ紅葉していないカエデと淡い色調のままだった。
ハゼモミジだけは眩い赤色の色づき。
入り口付近で見えた紅葉は、芝生の広場の奥にある。
近づいてみると、カエデの紅葉はまだ早く、綺麗に赤く染まって見えたのはハゼの木だった。
紅葉の木々を堪能した後は、春の薔薇のシーズンには混雑して入室できなかった喫茶室でお茶をする。
今日の訪問では、ジョサイア・コンドル最晩年の円熟した作品と称えられる、洋館を見学する目的もあった。
プリンス・オブ・ウェールズ |
好きな場所を選べるので、一番奥の大食堂でコーヒーとケーキをいただくことにする。
つい先日『小説 ジョサイア・コンドル』(永野芳宣著 中央公論新社)を読んだばかりなので、タイムスリップしたようなクラシカルで静謐な空間で、実際コンドルの設計した建物の中でお茶しているのが不思議なように感じられてくる。
真っ白な高い天井のフルーツを模した意匠が可憐で美しく、ずっと見上げていても飽きがこない。
GW、庭園を望むクラシックな喫茶室へGO
館内での写真撮影は禁止のため、室内は元より、窓から庭を臨む素晴らしい景観を捉えることができなかったのが残念である。
西日が差して輝く薔薇の花も紅葉も、奥の夏ミカンの木も、どれも広いガラス窓に縁どられた一幅の絵画のようだった。
ゆったりと流れる贅沢な時間を味わうために、それぞれの部屋でお茶する機会を、またつくろうと思う。