今年は母も一緒のお墓に入って、父もさぞホッとしていることだろう。
例年この時期に東京の紅葉は真っ盛りを迎える。
昨日はその墓参りの後、父母の眠る長源寺からさほど遠くない新座市の平林寺に行ってみることにした。
方向音痴の私でも、自転車でなんと10分ほどで着いてしまった。
最初に平林寺に訪れたのは、かれこれ30年くらい前のこと。やはり紅葉真っ盛りの時だった。
その紅葉も美しかったが、少し後に訪れた新緑の季節はもっと素晴らしかった印象が強く残っている。
清瀬へ引っ越して20年も経つのに、自転車で自宅から30分足らずで着くとは知らず、もっと遠くにあると思い込んでいた。そうと分かっていれば、季節ごとに何度でも行ったに違いない。
でもまあ、これで確かめられたのだから、今後の楽しみとしていこう。
さて、今年の紅葉も近年の温暖化の影響からなのか、一気に気温が下がらなかったため、瑞々しい葉の色づきではなく、チリジリと枯れてしまっている部分がところどころ目に付いた。
色が淡かったり、青いままだったりで、一斉に真っ赤に染まった楓が見渡せるわけではなかった。まだこれからということもあるだろう。
それでも、広い敷地いっぱいに植えられている楓の数の多さは圧巻で、随所に出会う素晴らしい色彩に目を奪われ、しばしば足を止めてデジカメのシャッターを切っていた。
まず入口付近。見ごろにさしかかっていて、午後3時の斜めの陽射しを受け、燃えるように輝いていた。
鐘楼、中門付近。
「豊かな自然に囲まれた平林寺は、禅修行の専門道場をもつ関東の代表的な臨済宗妙心寺派の禅刹です。
平林寺は、南北朝時代の永和元年(1375)岩槻城主・太田備中守を開基、石室善玖禅師を開山として、現在さいたま市岩槻区に創建されました。その後、大河内松平家の霊廟となり、幕府の老中で川越藩主となった松平信綱の遺言により、その子輝綱によって寛文3年(1663)岩槻から野火止の地に伽藍が移築され、現在に至ります。
武蔵野の面影を残す13万坪の境内林は昭和43年(1968)に国指定天然記念物になり、コナラ・クヌギなどの雑木やモミジが多くを占め、30種以上の野鳥が生息しています。境内には県指定史跡野火止用水が流れ、総門・山門・仏殿・中門は県の有形文化財に指定されています。」 (平林寺パンフより)
なるほど、広い境内は草木と土の香りに満たされ、武蔵野の自然をたっぷり味わうことができる。
樹齢どれくらいかと思わせる天を突き上げる高木もあり、思わずそっくり返って見上げる。
そんな風に昔の人たちも木々を見上げながら、この道を散策したのだろうか。
かつて見たことがないような背の高い楓の木。
青空に映える見事な枝っぷり。
天上に広がる楓の絨毯。
この辺りから本堂裏手の散策コースが始まる。
奥に行けば行くほど、緑色のままの楓が多く、その分グラデーションの妙があって美しい。あまり毒々しい赤色より、橙色かかっている淡い色調の方が好みだ。
松平信綱墓(大河内松平家廟所) |
廟所参道 |
放生池 |
さらにピンボケ写真を加工して水彩画のようにしてみる。
12月上旬まで紅葉の見頃は続くので、晩秋の清々しい季節を堪能しつつ、まだ見ぬ楓模様を求めて出かけるとしよう。
平林寺公式ホームページ